歩いても歩いても

歩いても歩いても

良多は、15年前に不慮の事故で亡くなった兄の命日のために妻と子供を連れて帰郷。しかしながら、現在失業中ということと、昔からそりの合わない父のことを考えると気が重い。
姉は明るく皆に気を遣い間をとりもつが、子連れで再婚して家族との面識も浅い良多の妻は気疲れし、姑との関係も微妙だ。
父と良多の溝もまだ深く、優秀だった兄といつも比べられてきた父への反発心はいまだ消えない。父もまた、次男の良多にはいぶかしげな態度をとる。
そんな中、良多はとあることから親の老いを初めて感じる。

観終わってすぐに、自分の家族が恋しくなりました。

特に変わった出来事が起きる映画ではありません。
どこにでもある家族の一日を切り取った映画なのですが、だからこそ出演する俳優の力量が問われると思います。
阿部寛をはじめ、奥さん役の夏川結衣、阿部ちゃんの両親に原田芳雄と樹木希林、そして長女のYOU。
個性的な役者たちが、見事に微妙な家族の関係を演じています。

母はずっと台所に居て料理をする。
女たちは台所で料理をしながら世間話をしたり、愚痴を吐く。
嫁と姑の微妙な関係。
孫とおじいちゃんだけの密かな会話。
何気ない会話が流れる家族揃っての食卓。
なんだか懐かしく、そして愛おしい家族の風景がたくさん描かれています。

そして、初めて感じる親の老い。
当たり前のようにそこにある風景は永遠ではないんだと感じさせます。

スクリーンの中で起こっていることを、いつしか自分にダブらせて観ていました。

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